自動運転のメリット・デメリットについて解説
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車の自動運転は、早ければ10年後にはかなり高度な自動運転化が実現し、そう遠くない将来、運転免許すら不要な時代がやってくるかもしれません。現在、世界中がしのぎを削って自動運転の技術革新に取り組み、実用化も猛スピードで進んでいます。
その動向に目が離せない自動運転には、どんなメリットがあるのでしょうか。そして課題や知っておくべきデメリットについても説明します。
自動運転の定義をまずは知っておこう
一概に「自動運転」と言っても、実は人間が運転に関わる度合いによって、その定義はいくつかのレベルに分けられます。現在は、アメリカの自動車技術者協会(SAE=Society of Automotive Engineers)による6段階の自動運転レベルの定義が、世界においての主流となっており、レベル0~2では人間が、レベル3~5では自動運転装置が運転の主体となるのが特徴です。
SAEにおける自動運転化レベルの定義
- レベル0 運転自動化なし 走行主体:人 走行領域:適用外
- レベル1 運転支援 走行主体:人 走行領域:限定的
- レベル2 部分運転自動化 走行主体:人 走行領域:限定的
- レベル3 条件付き運転自動化 走行主体:車 走行領域:限定的
- レベル4 高度運転自動化 走行主体:車 走行領域:限定的
- レベル5 完全運転自動化 走行主体:車 走行領域:限定なし
日本では2020年に国土交通省が「自動運転システムが全ての運転タスクを代替する状態を自動運転車と呼ぶ」と定めましたが、これは上記のSAEによる基準に当てはめれば、レベル3に相当する程度です。すでに2021年に、世界初の自動運転レベル3の認定を受けた市販車が日本で発売され、今後の動向に注目したいところです。
自動運転のメリット
自動運転には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは自動運転がもたらす社会的・人的メリットについて説明します。
ドライバーにとって運転が楽になる
自動運転システムが運転を管理・制御することで、ドライバーはアクセル・ブレーキ・ハンドリングなどの操作が不要に(少なく)なり、また周辺への注意も人間が行う範囲は補足的なものになるので、肉体的・精神的負荷が格段に減少します。レベル4以上の自動運転になれば、車の移動時間がそのまま自由時間になり、ドライバーが走行中の車内で読書や食事などの行動をすることもできます。
交通事故が減って安全性が高まる可能性がある
交通事故の多くは、ドライバーによる操作や判断のミス、安全確認不足、わき見や漫然運転など、いわゆる「ヒューマンエラー」に起因します。自動運転システムが人間に代わって運転を管理・制御することで、このヒューマンエラーを防ぎ、交通事故の減少につながることが期待できます。
渋滞が減って移動時間が短くなる可能性がある
自動運転の管理システムが自動車の速度をコントロールすることで前の車との車間距離を適切に保ち、不要なブレーキをなくすため、渋滞が緩和できる可能性があります。
また、同時にリアルタイムで道路状況を把握することで渋滞の少ない最短ルートを選ぶことができ、移動時間の減少も期待できます。
自動運転のデメリット
多くのメリットが期待できる自動運転ですが、同時にデメリットも指摘されています。中でも特に大きな課題として考えられているのは、以下に挙げる2点です。
システムトラブルの影響を受ける可能性がある
自動運転システムは、悪天候や災害時にどのような影響を受けるかわかりません。また、ハッキングなどにより故意にプログラムを書き換えられ、犯罪行為などに利用される恐れもあります。システムのセキュリティをどのように高めていくかは今後の課題の1つです。
事故の際に責任の所在が不明確になる
自動運転中に事故が発生した場合、レベル2までは「ドライバーの責任」、レベル3は「ドライバーとシステムの両方の責任」、さらにレベル4以降は「システムの責任」とされています。ただし、実際にはドライバー・自動車メーカー・システム開発会社のうち、どこに事故の責任があるかについて不明確で、争う可能性があります。今後、法律をどのように整備していくかが注目されます。
自動運転車の実用化の状況は?
日本では、自動運転レベル1の技術(例:衝突被害軽減ブレーキ)は新車にほぼ標準で搭載されるようになり、レベル2(例:ハンズオフ走行)も公道における普及が始まっています。そして、レベル3の「条件付自動運転車(限定領域)」まで実車化が進み、2021年にホンダから販売が開始されました。
さらに、2023年4月から一定の条件のもとに、完全な自動運転となる「レベル4」が認められる見通しとなりました。「レベル4」ともなると、緊急事態対応も含め、すべての運転操作をシステムに任せられるため、無人の車が各地の道路を走ることも想定されます。
より高い技術が求められることもあって、自動車メーカーはさらなる研究開発を進めるほか、国土交通省などは安全性の基準作りやシステムが負うべき責任について検討するなど、具体的な段階の作業が急ピッチで進められています。
課題は残しつつも、将来を見据えた際に自動運転にはメリットが多く、実用化は喫緊の課題です。最新の自動運転車の動向にも注目してみましょう。
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