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シリーズハイブリッドの魅力に迫る!燃費や走行性能、快適性などを徹底解説

ハイブリッドカーの代名詞でもあったプリウスが登場してからすでに25年以上。今では多くのメーカーがハイブリッドカーを生産し、当たり前の選択肢の1つになってきましたが、ハイブリッドにもいくつかの種類があることは案外知られていないかもしれません。

この記事では、ハイブリッドカーの主要なシステムの1つであるシリーズハイブリッドについて詳しく解説します。ハイブリッドカーを選ぶ際の参考にしてみてください。

シリーズハイブリッドとは?

「ハイブリッド」と言えば、エンジンとモーターを使い分けることで効率的に車を動かすシステムとして知られています。シリーズハイブリッドは、その中でも主流となるシステムの1つで、その特徴はモーターで車を動かすところにあります。具体的な内容を見ていきましょう。

シリーズハイブリッドの基本的な仕組み

シリーズハイブリッドの基本となる組み合わせは、エンジン、発電機、バッテリー、そしてモーターです。シリーズハイブリッドにおけるシステムでは、エンジンは発電機を駆動して電力を生成します。生成された電力は、二つの主な用途に使われます。一つは電池を充電すること、もう一つは電気モーターを駆動し、車両を動かすことです。つまり、シリーズハイブリッド車では、エンジンが直接車輪を駆動することはなく、すべての動力は電気モーターから供給されます。この方式の代表的な例として、日産の「e-POWER」システムを搭載したノートやセレナなどがあります。

このシステムは、エンジンが最も効率的な速度で運転できるので、従来のガソリン車に比べ燃費が向上します。また、エンジンが直接動力を供給しないため、エンジンの騒音や振動が減少し、乗り心地が快適です。

シリーズハイブリッドと他のハイブリッド方式との違い

ハイブリッドシステムには、シリーズ方式のほか、主に「パラレル方式」と「スプリット方式」があります。シリーズ方式と他の2つの方式との主な違いは、動力伝達の方法です。パラレル方式では、モーターとエンジンが並列して配置されており、主役はエンジンの駆動力、モーターはそれをアシストするのみです。モーター専用のバッテリーは、基本的に搭載されないため、モーターの出力が小さく、電気による走行はほぼできませんが、作りがシンプルなので、安いコストで作ることができます。

一方、スプリット方式は、走行状態によってエンジンとモーターを適切に使い分け、発進や低速時にはモーターのみで走行し、高負荷時や高速走行時にはエンジンも始動させるシステムです。エンジンの動力が機械的にも電気的にも車輪に伝えられる複雑なシステムで、トヨタの初代プリウスなどがこの方式を採用しており、現在でも比較的高級価格帯のハイブリッド車に使われ続けています。

こうした違いは、燃費効率性にも大きく影響します。一般的に、シリーズハイブリッドは低速時や市街地走行において効率的ですが、高速道路走行ではパラレル方式やスプリット方式の方が優れている場合があります。これは、シリーズハイブリッドのエンジンが発電専用であるため、高速走行時にはエンジンとモーターの間でエネルギー変換が複数回行われるためです。]

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シリーズハイブリッドにおける燃費性能の特徴

燃費が良いとされるハイブリッド車ですが、シリーズハイブリッドの場合は、燃費性能においてどのような特徴があるでしょうか。具体的に数字を挙げながら見ていきましょう。

燃費の計算方法と年間燃料費

燃費の計算は、車両が特定の距離を走行するのに必要な燃料の量で行われます。通常、これはリットルあたりのキロメートル(km/L)で表されます。例えば、日産セレナのシリーズハイブリッド車「e-POWER X」のWLTCモードにおける燃費は20.6km/L、ガソリン車である「X」の燃費は13.46km/Lです(出典:「日産セレナ 価格・グレード」(日産セレナの公式サイト))。2023年12月20日公表の資源エネルギー庁の調査によると、レギュラーガソリンの価格は175.1円/Lでした。

2023年7月に発表されたソニー損害保険株式会社の調査に基づく年間平均走行距離6,791km(出典:「2023年 全国カーライフ実態調査」(ソニー損保))を使用して年間燃料費を計算すると、ハイブリッド車の年間燃料費は約57,724円、ガソリン車の年間燃料費は約88,344円となります。これにより、日産セレナのシリーズハイブリッド車はガソリン車に比べて年間約30,620円の燃料費を節約できることがわかります。

なお、現在の燃費ランキングでは上位のほとんどをハイブリッド車が占めており、燃費の面ではハイブリッド車がコスト削減につながることがわかります。ただし、車の所有にあたって必要なすべてのコストを考慮に入れる際には、ガソリン代以外にも、車両の購入価格、メンテナンスコスト、バッテリーの交換コストなども含めて、総合的に検討する必要があります。

走行性能と快適性

シリーズハイブリッドが持つメリットの中でも、特にドライバーや同乗者にとって体感しやすいのは、走行性能や快適性の向上です。具体的に見てみましょう。

シリーズハイブリッドの乗り心地

シリーズハイブリッド車の大きなメリットは、その静粛性です。エンジンによる直接的な駆動がないため、エンジンの騒音や振動が大幅に減少し、静かで滑らかな走行を体験することができます。また、電気モーターは即座に最大トルクを提供できるため、スムーズかつ迅速な加速が可能です。特に交差点からの発進や追い越し時に有効で、優れた加速感を実感できるでしょう。

シリーズハイブリッドの乗り心地

さらに、ハンドリングにおいても、シリーズハイブリッド車はバランスが良いとされています。重いバッテリーが通常、車両の低い位置に配置されるため、重心が低く、安定したコーナリングが可能な場合があるのです。

こうしたシリーズハイブリッド車の技術的な特徴は、ドライバーにも同乗者にも静かで滑らかな走行感や乗り心地を提供してくれるでしょう。

シリーズハイブリッドのメリットとデメリット

シリーズハイブリッド車はその技術的な特性から生まれる魅力がありますが、一方で、デメリットの側面もあります。ここでは、特に意識しておきたいシリーズハイブリッドのメリット・デメリットについて解説します。

環境への影響や燃費におけるメリット・デメリット

まずは環境への影響や燃費についてです。

メリット:低燃費と低公害

シリーズハイブリッド車は、ガソリン車に比べて燃費を改善し、排出ガスを減らすことができます。これにより、環境への負担を低減し、都市部などでの空気質の改善に寄与します。

燃料消費量が少ない車は、その分だけ二酸化炭素(CO2)の排出量も少なくなります。CO2は最も代表的な温室効果ガスであり、気候変動の原因となっています。例えば、燃費が15km/Lの車と25km/Lの車では、同じ距離を走行した場合に排出されるCO2の量が異なります。

仮に年間10,000km走行する車を考えると、燃費が15km/Lの車は約666.7リットルの燃料を消費します。一方、燃費が25km/Lの車では400リットルです。燃料1リットルあたりのCO2排出量が約2.31kg(ガソリンの場合)だとすると、それぞれ約1,540kgと924kgのCO2を排出することになります。この差、約616kgが燃費の改善による環境への負担軽減の効果を示します。

このように、低燃費の車は使用する燃料量が少ないため、温室効果ガスの排出を抑えることができ、環境への負荷を低減します。また、燃料の消費が少ないことは、化石燃料の使用量を減らすことにも寄与し、持続可能な環境保全に貢献します。

メリット:市街地でのエネルギー利用効率向上

シリーズハイブリッド車は、減速時のエネルギーを電気エネルギーとして回収し、再利用することで、燃料消費を削減し燃費を向上させます。そのため、頻繁な加速と減速が行われる市街地での運転では、エネルギーの利用効率を上げることが期待できます。

デメリット:高速走行時の効果減少

一定速度での長距離走行、特に高速道路などでは、減速時のエネルギー回収が少ないため、ハイブリッドの利点が活かされにくいといえます。また、ハイブリッドシステムに欠かせないバッテリーなどを積んでいることから車体の重量が増加するため、燃費に影響を与える可能性があります。

維持費と寿命に関するメリット・デメリット

続けて、維持費や寿命についてです。

メリット:単純な構造

シリーズハイブリッドの構造は比較的単純であるため、システムの制御が容易であり、特許の問題や複雑な制御に関連する技術的な障壁が少なくなります。このため、メンテナンスが容易で、修理費用や部品交換コストが低く抑えられる可能性があります。

メリット:エンジンの寿命が長い

エンジンへの負担がガソリン車よりも少ないため、シリーズハイブリッド車の方がエンジンの寿命は長くなるでしょう。

デメリット:メインバッテリーの交換費用が高い

シリーズハイブリッド車のバッテリーには、補機バッテリーとメインバッテリーがあります。3~4年での交換が目安となる補機バッテリーの金額はそこまで高くありませんが、メインバッテリーの交換となると数十万円の費用がかかってきます。とはいえメインバッテリーは寿命と同じくらい長持ちするといわれ、交換する機会は稀でしょう。

まとめ – シリーズハイブリッド車の魅力

シリーズハイブリッド車は、環境への影響が少なく、燃費が良いという顕著なメリットがあります。エンジンが発電機を駆動し、電気モーターが車両を動かすという構成は、都市部での運転に特に適しており、静かでスムーズな走りを提供します。また、減少する排出ガスにより、環境保護にも寄与します。

コスト面では、初期投資がかかり、電池の交換コストなどの課題もありますが、燃料費の節約やメンテナンスコストの長期的な低減により、全体的な経済性は向上する可能性もあります。

将来的には、電池技術の進歩や、よりクリーンな電力源へのシフトが期待されており、シリーズハイブリッド車の環境メリットはさらに高まるでしょう。また、自動車業界全体の電動化の流れとともに、シリーズハイブリッド車の普及も進むことが予想されます。

シリーズハイブリッド車の購入を検討する際には、長期的な視点でさまざまな要素を考慮することをおすすめします。

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