8ナンバー車とは、ナンバープレートの右上に書かれた分類番号が8から始まる自動車の通称です。8ナンバーを取得した自動車は、重量や排気量が同じ車と比べて税金が安くなる場合があります。ただし、8ナンバーを取得するためには、一定の条件を満たした上で登録手続きが必要です。

この記事では8ナンバー車の定義や取得方法、税金、保険料について解説します。

8ナンバー車の定義とその種類

8ナンバー車は道路運送車両法で「特種用途自動車」として分類される自動車です。救急車や消防車、レッカー車、教習車など、特別な設備や構造を持つ自動車に対して8ナンバーが付与されます。

一般のユーザーが所有する8ナンバー車の代表例はキャンピングカーです。2022年4月の法改正で、8ナンバーを取得するための要件が変更されました。従来はキッチンの前に1,600mmの高さが必要でしたが、調理台が850mm以下の場合は社内の高さが1,200mmでも認められるようになっています。

また、就寝設備の最低数も変更されたポイントです。従来は、乗車定員の3分の1以上の就寝設備が必要で端数は切り上げ、定員3人以下の自動車では2人以上の就寝設備が求められていました。法改正後は端数が切り捨てとなり、乗車定員2人以下の場合は1人以上の就寝設備が必要という条件に変更されています。

これらの改正により、従来よりも小さな車をベースとしてキャンピングカーを作り、8ナンバーを取得できるようになりました。

8ナンバーの取得方法

キャンピングカーとして8ナンバーを取得するためには、運輸支局または自動車検査登録事務所で構造等変更検査を受ける必要があります。

検査時に満たすべき条件は、就寝や調理のための特殊設備があることや、積載スペースと乗用スペースの仕切りがあることなどです。また、特殊設備の面積は運転席を除く床面積の半分を超えていなければなりません。

8ナンバーを取得するための構造要件は、乗用車をキャンピングカーに改造する場合だけでなく、キャンピングカーを購入した場合にも適用されます。特殊設備が要件を満たしていない簡易なキャンピングカーは8ナンバーが取得できないため、仕様をよく確認しましょう。

構造変更の手続きには、申請書のほかに車検証や自動車検査票、点検整備記録簿、自賠責保険証明書、自動車の税金に関する各種書類などが必要です。検査に合格すると、8ナンバーが取得できます。

8ナンバー車における税金のメリット

8ナンバー車にかかる税金は、通常の自動車よりも安く設定されています。8ナンバー車における税金のメリットは次の通りです。

自動車税種別割が安い

自動車税種別割は、毎年4月1日時点での自動車の所有者が支払う税金です。金額は総排気量によって異なり、8ナンバー車は通常の自家用車よりも自動車税種別割が安く設定されています。

例えば、2019年10月1日以降に新規登録された総排気量1,000cc超1,500cc以下の自動車税額は、通常の自家用車で30,500円、8ナンバーのキャンピングカーで24,400円です。

自動車重量税が安い

自動車重量税は、新規登録や車検の際に支払う税金です。自動車重量税の金額は、自家用車は車両重量、8ナンバー車は人や荷物を含む車両総重量によって異なります。取得からの経過年数や重量が同条件の場合、自動車重量税は8ナンバーのキャンピングカーのほうが安価です。

例えば、取得から13年未満で重量が2トンの場合にかかる継続車検時の自動車重量税額は、自家用車で32,800円、8ナンバーのキャンピングカーで16,400円です。

8ナンバー車の保険料は？

自動車にかかる保険料には、自賠責保険と任意保険の2種類があります。ここでは、8ナンバー車と他の自動車の保険料の違いについて解説します。

自賠責保険は高い場合もある

自賠責保険は、加入が義務付けられている保険です。自賠責保険の金額は、契約期間や自動車の種類によって異なります。例えば、12か月契約における自賠責保険料は、8ナンバーのキャンピングカーでは12,670円、自家用車では11,500円です。8ナンバー車の方が、自家用車と比べて高く設定されています。

ただし、軽自動車で比較した場合は、8ナンバー車の方が自賠責保険料は安価です。例えば、12か月契約における軽自動車のキャンピングカーの自賠責保険料は8,280円、8ナンバーではない軽自動車では11,440円となっています。

任意自動車保険料について

任意自動車保険は、保険会社と契約して加入する任意の保険です。保険会社によっては、8ナンバーのキャンピングカー向けの保険が用意されていない場合もあります。8ナンバー車向けの保険を扱っている保険会社では、普通自動車と同程度の金額で保険に加入できることが一般的です。任意保険の料金は、保険会社やサービス内容によって異なります。

8ナンバー車登録を検討する際のポイント

キャンピングカーを8ナンバー車として登録すると、自動車税種別割や自動車重量税が安くなる点がメリットです。ただし、自賠責保険は高くなるケースがある点や、構造要件を満たした上で手続きが必要な点などが、8ナンバー車登録のデメリットとして挙げられます。登録にかかる手間や維持コストの変化を考慮した上で、8ナンバー車登録を行うかどうか検討しましょう。